
レーベルOneInchPunch主宰、PolePoleTaxi名義での楽曲制作/DJを行う石井タカアキの活動初期音源集2001-2002。”茶柱”よりリリースが予定されていたものの、未リリースのまま葬り去られていた楽曲もサルベージ。
チップでチープな音色、ペリキンや細野晴臣にも似た脱力メロディを基調としつつも、脱線しまくりの悪徳ビートミュージック。よいこのみんなはきいちゃだめ。
1. Vergo
2. lan’d
3. yourB
4. 20minutes Pt.2
5. 20minutes Pt.1
6. xis
7. CICS
8. WAAADK
all tracks by TAKAAKI ISHII
mastered by SHUNSUKE YOKOWO
作者による楽曲解説
産まれて此の方30年で失ったものといば、母親と左奥歯一本くらいのもので、むしろ得るものが多い人生だったというべきか。幸せなのかも知れない。
これらの曲を録っていた2001、02年といえば、ちょうどその片方を亡くした時期で、躁鬱でいったら躁の状態で暫く病的に過ごしていたんだけれども、
果たしてそれが作る音楽にも現れているのか、現れていても気恥ずかしいような気もして微妙。
兎に角、19くらいからカセットMTRで録音を始めてからこの頃までは、「作る曲が既に存在する他の何かに似てしまってはダメだ」という強烈な妄執こそが最大唯一のプリンシプルで、一生懸命に椅子から転げ落ちそうになりながら時代遅れのシーケンサーとサンプラーに向かい合っていて、これもまた青臭いようで気恥ずかしいような気もするが、この頃の視野狭窄気味な実験と実践は今も確実に生きていると思う。
ある特定の歳月を長いと感ずるか短いと感ずるかは人それぞれだろうけど、ここで鳴っている音がどういう意志を持って鳴らされているのか、我が事ながら聴き返していても全く実感を伴わないし、一体この人はどういう思想の持ち主なのだろうかと疑問を持つ程なので、6年というのはそれなりに長い年月なのだろう。
1. Vergo
ビートにクラップを使ってエレクトロ調、ウワモノは生の電気っぽい音でよりエレクトロに。
この頃の曲のドラムは100%サンプリング。
しかもレコードの端っこから録ってるから、狙った音以外にも残響とか変な音が一緒に鳴っているので要注意だ。
ウワモノに関しては、白玉シンセパッドというのは果たしてカッコ良いのか悪いのか、という事が当時重大な問題だったので、
カッコ良く使ってやろうとチャレンジしたけど、スキゾフレニックな印象で、成功しているかいささか不安。
イントロはナパームデスやブルタールトゥルースのツーバス(ブラストビート)にインスパイアされてブルータルにしたが、
テンポが遅いのでそうとは分からないのがポイント。
2. lan’d
気持ちよく走ってるんだけど、その場から一歩も進んでないルームランナー、地団駄踏む様なその場足踏み、という個人的なファンク解釈で構成。
ギターのサンプルは良くはまっていると思う。リズムが半速と倍速を行ったり来たり、そして自分にしてはベースが良く動いてる。
メロディーはちょっとシンフォニックなイメージなんだけど、音色がチープで昔のゲームミュージックの様になっている。
当時はどの曲もどうして出来上がりがこうなるのか分からない程、良く言えばクリエイティブ、悪く言えば行き当たりばったり。
3. yourB
今ではわざわざレコードで聴く音楽はレゲエだけになってしまったが、もうこの時点で既にレゲエの影響が感ぜられる。
今聴くとサンプルの音処理なんかもうちょっとやり様あるだろうに、などと思ってしまうが。
ダブやレゲエを参照したエレクトロミュージック数あれど、後にも先にもこの一曲だけ、の独自の地平を切り拓いていると思う。
とデモを聴いてくれた某関西のレーベルオーナーも言っていた。気がする。
真ん中らへん、ブレイク部の声のサンプルは故デメトリオ・ストラトス(area)。ロイヤリティーを払いたいので連絡ください。
4. 20minutes_01
5. 20minutes_02
MASというバンドのtyme氏が当時開けていたインターネットのBBSでの、20分で曲を作ろうという企画に便乗して作った曲。
自分の音楽なんて些細なワンアイデアの集成物だと思っていたけど、その剥き出しのワンアイデア一発だけで作ってみた。
勘違いのヒップホップとフリージャズ。20分といいながら、結局どちらも半日以上かかって完成。
6. xis
全編にわたり近所で録ったフィールドレコーディング素材を加工して通奏。子供の声や、犬まで呑気に鳴いてる。
リズムは和太鼓のようなモティーフで、近所から聞こえてくる夏祭りの喧噪、盆踊りの夕べ、祭りエレクトロニカがテーマ。
シーケンスで曲を作っているとどうしても4/4やBPMにしばられてしまい、そこに少しだけ不自由を感じていたので、
そこからはみだすような、生っぽくフリーキーな部分を入れ込んだ。
7. CICS
今も昔も気を抜くとつい使ってしまう“マジはまり音色第一”はオルガンなのですが、そのオルガンのリフで展開していく曲。
比較的オーソドックスな曲構成。使い古された様なワンショットのストリングスサンプルが意外と効果的。ドラムのサンプル太くね?
アウトロはサンプラーで作るノータイムのフリードラミング。生演奏への憧憬がうかがえる。
8. WAAADK
音を「音波」として捉えて、全ては振幅で波の動きだという事を、シンセのLFOの揺らぎを通してリアライズし、
そこに自分の体内リズムを時間をかけてチューニングしていく、みたいなコンセプトの曲だったように記憶するが、
今聴くと凡庸なニューエイジアンビエントに聴こえなくもない。
ペラッペラのタブラとシタールの音がイナタ過ぎて逆に良い感じのエセ(似非)ニックミュージックに仕上がっている。
BPMの早い曲ばかり作っていたので、ゆっくりの曲なんだけどキレがある、ってのは成功してると思う。
60と120が関係なく同時に動いてる感じ。ポリではなく、モノだが。


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